神々の伝承

天夷鳥命(あめのひなどりのみこと)

天夷鳥命とは

記紀での出現状況

  • 古事記に出現
    ・国造始祖として登場
     神名:建比良鳥命

「天菩比命之子、建比良鳥命 (此出雲國造无耶志國造上菟上國造下菟上國造伊自牟國造津嶋縣直遠江國造等之祖也)」


  • 日本書紀に出現
    • 崇神天皇六十年、出雲大神の神宝の段にて登場
      神名:武日照命、武夷鳥、天夷鳥

「(崇神天皇)六十年秋七月丙申朔己酉、詔群臣曰「武日照命一云武夷鳥、又云天夷鳥從天將來神寶、藏于出雲大神宮。是欲見焉。・・・(後略)」

 古事記では、天照大御神と須佐之男命との間で行われた「誓約」の中で生まれた五男三女の神々の天穗日命あめのほひのみことの子であるとされ、古事記では出雲国造の祖であると記されています。

誓約で生まれた五男三女の神々とは?

古事記日本書紀本文日本書紀一書(一)日本書紀一書(二)
多紀理毘売命田心姫田心姫田心姫
多岐都比売命湍津姫湍津姫湍津姫
市寸島比売命市杵嶋姫瀛津嶋姫市杵嶋姫
天之忍穂耳命天忍穂耳命正哉吾勝勝速日天忍骨尊正哉吾勝勝速日天忍骨尊
天之菩卑能命天穂日命天穂日命天穂日命
天津日子根命天津彦根命天津彦根命天津彦根命
活津日子根命活津彦根命活津彦根命活津彦根命
熊野久須毘命熊野櫲樟日命熊野忍蹈命熊野櫲樟日命

 多紀理毘売命、多岐都比売命、市寸島比売命は宗像三女神とも呼ばれ、福岡県の宗像大社の御祭神として、沖津宮、中津宮、辺津宮に祀られている事で知られています。
 また、神仏習合期においては、市寸島比売命は弁財天と同一視され、現在でも「七福神巡り」などで市寸島比売命が祀られている神社が弁財天の札所となっている所があったりします。

 天夷鳥命の末裔が出雲国造となった系統とは別に、相撲神、土師職として知られている「野見宿禰」やさらにその子孫に「菅原道真」などを輩出する系統にも繋がるとしています。

神々のデータ

神祇天津神
神名古事記 :建比良鳥命
日本書紀:大背飯三熊之大人おおそびのみくまのうし武三熊之大人たけみくまのうし武日照命たけひなてるのみこと、天夷鳥命
天穂日命
末裔出雲国造、野見宿禰

天夷鳥命を祀る神社

  • 野見神社(式内社・村社)
    愛知県豊田市榊野町見切53
    • 矢作川の支流「阿摺川」を遡上した先にある榊野町に鎮座している神社。戦国時代にはこの辺りに十八松平家の能見松平氏が城を構えていたとも伝えられ、野見と能見・・・ともに読み方は「のみ」である事から何らかの関係があるのでしょうか。

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