神々の伝承

於母陀流神(おもだるのかみ)・阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)

2021年7月17日

於母陀流神おもだるのかみ阿夜訶志古泥神あやかしこねのかみとは?

記紀での出現状況

  • 古事記に登場
    神世七代の第六代の陰陽神として出現。
    ・神名:陽神:於母陀流神 陰神:阿夜訶志古泥神

【神代七代】
国之常立神 ー 豊雲野神 ー 宇比地邇神・須比智邇神 ー 角杙神・活杙神 ー 意富斗能地神・大斗乃弁神 ー 於母陀流神・阿夜訶志古泥神 ー伊邪那岐神・伊邪那美神

  • 日本書記に登場
    天地開闢にて六番目に始めての陰陽神として出現。
    ・神名:陽神:面足尊 陰神:惶根尊

【神代七代】
国常立尊 ー 国狭槌尊 ー 豊斟渟尊 ー 泥土煮尊・沙土煮尊 ー 大戸之道尊・大苫辺尊 ー 面足尊・惶根尊 ー 伊弉諾尊・伊弉冉尊

 於母陀流神・阿夜訶志古泥神共に「古事記」、「日本書紀」の両方に出現する神であり、共に神代七代と呼ばれる神々の六代目に出現した神として描かれています。

  • 於母陀流神  = 「男子の顔つきが満ち足りていること」
    • 「淤母」は「面」という意
    • 「陀琉」は「足る」という意
  • 阿夜訶志古泥神 = 「まあ、畏れ多い女子よ」
    • 「阿夜」は感動詞で「まぁ!」となる。
    • 「訶志古」は「畏し」の意
    • 「泥」は人につける親称

 また、一説には、両神は現在でも全国各地にみる事ができる「生殖器崇拝」から於母陀流神は男根、阿夜訶志古泥神は女陰が神格化したものであるとも言われています。

古事記では

 古事記では「意富斗能地神・大斗乃弁神」の次に出現する神で、「次於母陀流神、次妹阿夜上訶志古泥神。(此二神名皆以音)」と書かれています。現代語訳にすると「次にお生まれになった神の名は、於母陀流神といい、その次生まれたには女神で阿夜上訶志古泥神といった。」と訳すことができます。この神も、他の今まで古事記で登場してきた神々と同様もお生まれになてすぐ姿を隠され(見えなくされ)、これ以降登場してきません。

日本書記では

 日本書紀では、「次有神 面足尊 惶根尊 亦曰吾屋惶根尊 亦曰忌橿城尊 亦曰靑橿城根尊 亦曰吾屋橿城尊」と記されています。現代語訳すれば「次に現れた神は、面足尊と惶根尊(または吾屋惶根尊、忌橿城尊、靑橿城根尊、吾屋橿城尊)と云う。」となります。ほぼ古事記と同様の内容となっていますが、女神である惶根尊の別称が多く記されてい点が特徴です。

神々のデータ

於母陀流神

神祇天津神、神世七代
神名古事記 :於母陀流神
日本書紀:面足尊
神名の意味男子の顔つきが満ち足りていること
別称

阿夜訶志古泥神

神祇天津神、神世七代
神名古事記 :阿夜上訶志古泥神
日本書紀:惶根尊
神名の意味まあ、畏れ多い女子よ
別称吾屋惶根尊、忌橿城尊、靑橿城根尊、吾屋橿城尊

於母陀流神・阿夜訶志古泥神を祀る神社

現在の所、当サイトでは、於母陀流神・阿夜訶志古泥神を主祭神とする神社の紹介記事はありません。

まとめ

 於母陀流神・阿夜訶志古泥神は男女対偶神として出現しており、両神を一代として数えています。地ができ、原野がひろがり、そんな原野を造成し、境界を定め、住居を構えるといった流れを神世七代の五代までが神格化してきた訳ですが、遂に於母陀流神・阿夜訶志古泥神では「性」を持つことになっていきます。そして次代の伊邪那岐神・伊邪那美神が行う国生み・神生みに繋がっていく事になります。

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