神々の伝承

伊邪那岐神(いざなきのみこと)

2021年9月10日

伊邪那岐神とは?

記紀での出現状況

  • 古事記に出現
    神世七代の第七代の陰陽神として出現
    • 【神世七代】
      国之常立神 ー 豊雲野神 ー 宇比地邇神・須比智邇神 ー 角杙神・活杙神 ー 意富斗能地神・大斗乃弁神 ー 於母陀流神・阿夜訶志古泥神 ー伊邪那岐神・伊邪那美神
  • 日本書紀に出現
    天地開闢にて七番目に始めての陰陽神として出現。
    • 【神世七代】
      国常立尊 ー 国狭槌尊 ー 豊斟渟尊 ー 泥土煮尊・沙土煮尊 ー 大戸之道尊・大苫辺尊 ー 面足尊・惶根尊 ー 伊弉諾尊・伊弉冉尊

 伊邪那岐は古事記、日本書紀共に神代七代呼ばれる世界の創成期に出現した神々の最後に登場しています。神代七代のより陰陽神が出現しており、伊邪那岐神も陰神である伊邪那美神と同時に出現しています。(伊邪那美神については、別途紹介記事をアップします。)

名義は「講合に誘い合う男性」という意。

  • 「伊邪那」は、誘うという語幹
  • 「岐」は男性を現す語

 伊邪那岐神・伊邪那美神の二神が結婚して国生み・神生みを行うことに関わるもので、男女が誘い合って交わることを意味するとする説もあります。

古事記では?

 「神世七代」の第七代として、男女講合による生産豊穣の表像として化生したとされ、男女抱擁神像は伊邪那岐・伊邪那美を形象化したものとされている。

 そして、別天つ神からの「みこともち」を仰せつかった時、伊邪那岐"神"から伊邪那岐"命"へと敬称が変わり、伊邪那美命との結婚・国生み・神生みという「日本」の根幹を作り上げていく大事業を行っていきます。

 しかし、火を表像する「火之加具土命」を生んだ時、伊邪那美命は陰部を焼かれ、重体となり苦しみながら亡くなってしまいます。亡くなり黄泉の国に行った伊邪那美命に会いたくなり、連れ戻そうして伊邪那岐命は黄泉の国に向かいますが、そこで見た腐敗した伊邪那美命の遺体に恐れ戦き、黄泉の国から逃げようとします。逃さないと追う伊邪那美命の追撃を振り切って伊邪那岐は黄泉の国との境界を巨大な岩で塞いでしまいます。この岩を挟んで伊邪那美命は、「毎日、そちらの国に住む人の千人を黄泉の国に連れていく(殺す)」と宣言すれば、「千人連れていくというのならば千五百人産んでみせよう。」と返答をし、これにより人間に"寿命"ができたとされています。

 黄泉の国から戻った伊邪那美命は紫の日向の橘の小戸の阿波岐原にて禊を行います。それまでは伊邪那美命と神生みをおこなってきた伊邪那岐は、この禊の中で、まとっていた衣装や身に着いていた穢れを水でそそいで洗い流している中でつぎつぎを神々を生んでいきます。

 そして、禊の最後に伊邪那岐は自分の両目と口を注いだ時、「三貴子」と称される「天照大御神」「月読命」「建速須佐之男命」が生まれます。伊邪那岐は、天照大御神に高天原、月読命に夜の食国、建速須佐之男命に海原をそれぞれ統治を命じますが、命に従わなかった建速須佐之男命に関しては後に高天原から追放させた後、伊邪那岐神は淡海の多賀に鎮まります。

日本書記では?

 現在、執筆中です。

神々のデータ

神祇天津神
神名古事記 :伊邪那岐神
日本書紀:伊弉諾尊
神名の意味講合に誘い合う男性
天照大御神・月読命・建速須佐之男命 他

伊邪那岐神を祀る神社

【古事記にて鎮まったとされる場所に鎮座し神社】

  • 多賀大社(式内社・官幣大社)
    滋賀県犬上郡多賀町多賀604

【日本書記にて鎮まったとされる場所に鎮座し神社】

  • 伊弉諾神宮(式内社・官幣大社)
    兵庫県淡路市多賀740

 その他、日本全国に伊邪那岐神を祀る神社が多数ありますが、現在、当サイトでは、大綿津見神を主祭神とする神社の紹介記事はありません。

まとめ

 伊邪那岐神は伊邪那美神と共に古事記・日本書記共に、一番最初に登場する「大物」ともいえる存在ではないかと思います。混沌とした世界に降り立った伊邪那岐と伊邪那美はそこに国を造り、神を生み、いつしか人々が住む場所を作り上げていきます。そして、高天原・豊葦原中国を治める三貴子を産むと、自らの役目は終わったとしたのか淡海(日本書紀では淡路)の多賀という地に鎮まります。

 日本神話に登場する神々の中で最上位とされるのが「天照大御神」であり、この天照大御神をお産みになったのが伊邪那岐神という事で、古事記の中では「伊邪那岐大神」と記されている個所もあったりします。

 一説では、天照大御神を信仰するヤマト朝廷が、伊邪那岐・伊邪那美を信仰する淡路島周辺の豪族を併合し、その中で伊邪那岐・伊邪那美と天照大御神を結びつける伝承が作られたとする説もあったりします。確かに、国生みなどの伝承地は淡路島周辺に多く伝えられている事からも、伊邪那岐・伊邪那美は淡路島周辺にて信仰されていた神々であると捕らえる事ができそうですね。

 この記事を書いている2021年9月現在、コロナ禍による緊急事態宣言が発令中であり、県をまたいでの移動の自粛が求められている為、以前の様に簡単に愛知県から淡路島に旅行に行ける雰囲気ではなくなってしまっていますが、コロナ禍が治まって県外旅行に大手を振っていける状況になった時に、一番最初に行ってみたい場所が「淡路島」ですね。

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