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海幸彦と山幸彦|天津日子穂穂手見命

2025年1月12日

海幸彦と山幸彦

邇邇芸命は木花之佐久夜毘売の「今まさに臨月となった。」との報告を「一晩で子を宿すとは我が子ではなく国津神の子であろう。」と疑った為、木花之佐久夜毘売は「国津神の子であらば焼け死ぬであろう。天津神の子であれば無事生まれるだろう。」と誓約を行い、産屋に籠り火照命、火須勢理命、火遠理命をお産みになり、話は邇邇芸命の代から火遠理命の代へと移っていきます。

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故 火照命者爲海佐知毘古 此四字以音下效此 而取鰭廣物鰭狹物 火遠理命者爲山佐知毘古而取毛麤物毛柔物 爾火遠理命謂其兄火照命 各相易佐知欲用 三度雖乞不許 然遂纔得相易

爾火遠理命以海佐知釣魚都不得一魚 亦其鉤失海 於是 其兄火照命乞其鉤曰 山佐知母己之佐知佐知 海佐知母己之佐知佐知 今各謂返佐知 之時 佐知二字以音 其弟火遠理命答曰 汝鉤者釣魚不得一魚 遂失海 然其兄強乞徵 故其弟破御佩之十拳劒作五百鉤 雖償不取 亦作一千鉤雖償不受云 猶欲得其正本鉤

  • 海佐知毘古・山佐知毘古・・海幸彦・山幸彦の意
  • 鰭の廣物鰭の狭物・・大小様々な魚、祝詞にも使われる語
  • 毛の麤物毛の柔物・・大小様々な獣、祝詞にも使われる語

現代語訳

 火照命は海幸彦として様々な魚を獲り、火遠理命は山幸彦として様々な獣を獲っていた。ある日、火遠理命は兄の火照命に「お互いの道具を交換してみないか。」と三度お願いをしたが許してくれなかったが、遂に交換する事ができた。

 火遠理命は釣道具を以って魚を釣ろうとしたが全く釣る事が出来ず、さらに交換した釣針も海に失くしてしまった。(火照命も獣を獲る事が出来なかったのか)火照命は、やはり自分の道具が一番しっくりくるから、お互いの道具を元に戻そう。と言った時、火遠理命は「交換した釣針は魚が一匹も釣る事が出来ず海に失くしてしまった。」答えると、火照命はその釣道具を返す様に強く求めると、火遠理命は持っていた十拳剣を砕いて釣針を五百作ったが受け取ってもらえず、千つくっても受け取ってもらえなかった。火照命は「元々自分が持っていた釣針が欲しいだけなのだ。」と言った。

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今回登場した神々

火照命
火遠理命

まとめ

 「佐知」と表記される「幸」を生まれ持って火照命と山遠理命は生まれてきます。釣針を持って生まれた火照命は「海幸彦」と弓矢を持って生まれた火遠理命は「海幸彦」と呼ばれ、自らの幸を使って様々な獲物を獲ってたようです。「隣の芝生は青く見える」ではないでしょうが、山幸彦は釣りをしたくなったのかわかりませんが兄である火照命に幸の交換を求めています。天津神だとしても他人の幸では獲物を獲る事ができない・・・まさに「隣の芝生は青く見える」の典型的な話になっている感じがします。

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