
豊玉毘売/豊玉姫とは?
- 古事記における表記
- 豊玉毘売 / 豊玉毘売命
- 日本書紀における表記
- 豊玉姫
豊玉毘売/豊玉姫の伝承
天孫瓊瓊杵尊の子で神武天皇の祖父となる「火遠理命」が兄の「火照命」の釣針を失くしてしまった事を発端として物語が始まっていく「海彦山彦神話」の中で塩椎神の助言に従い訪れた海中の宮殿に住んでいる海神(綿津見神)の娘として登場するのが「豊玉毘売/豊玉姫」になります。
火遠理命に娶られた豊玉毘売は三年間宮殿に共に生活をしていたようですが、地上の故郷を忘れられない火遠理命が時より見せる深いため息に地上に戻りたがっているのではないかと感じ、父である綿津見神の助力を請うて火遠理命を地上へと送り返しています。綿津見神の助言もあり兄を屈服させた火遠理命の元に火遠理命との間にできた子を出産する為に(古事記では単独で、日本書紀では妹の玉依姫を連れて)地上を訪れます。
火遠理命に「出産中は決して産屋の中を覗かないでください。」と念押しをしたにもかかわらず、火遠理命に覗かれ、龍の変身している姿を見られてしまい、辱めを受けたとして海と陸の境を閉じて海中に姿を消してしまいます。この時、生まれた子は萱で包んで海辺に置いていったということから彦波瀲武盧茲草葺不合尊と言います。

当サイトでは、古事記の現代語訳を行うにあたって、「新潮日本古典集成 古事記 西宮一民校注」を非常に参考させて頂いています。原文は載っていないのですが、歴史的仮名遣いに翻訳されている訳文とさらに色々な注釈が載っていて、古事記を読み進めるにあたって非常に参考になる一冊だと思います。
神々のデータ
神名 | 古事記 :豊玉毘売 / 豊玉毘売命 日本書紀:豊玉姫 |
神祇 | 国津神 |
別称 | |
親 | 綿津見神 |
配偶 | 火遠理命/彦火火出見尊 |
子 | 彦波瀲武盧茲草葺不合尊 |
備考 |
豊玉毘売/豊玉姫を祀る神社
- 椎ヶ脇神社
まとめ
天皇の祖先とされる「皇祖神」に海の神である綿津見神の血を取り込む為に登場したのが豊玉姫になる感じかと思います。一説には彦火火出見尊と後に神武天皇となる彦火火出見尊は実は同一人物として描かれていたが何らかの政治的思惑で途中で彦波瀲武盧茲草葺不合尊を挟み込んだとも言われています。同一人物だった説が本当だったならば、豊玉姫は初代天皇の皇后・・・初代皇后?・・になっていた可能性もあったのか?とも思いますが、人と神が交わる事はないと思うので神代の神話はもう少し違っていたと考えるのが妥当なのかなという気もします。
日本書紀を読んでいくにあったって、原文は漢文で書かれているので非常に読み込むのが困難なので、現代語訳されている本が一冊あると助かるかと思います。当サイトでは、戦前から日本書記の翻訳本として有名な岩波文庫の日本書記を非常に参考にさせて頂いています。