神々の伝承

墨江之三前大神

2025年1月30日

墨江之三前大神とは?

登場文献

  • 古事記 上つ巻「伊邪那岐命・伊邪那美命」の段
    • 次於水底滌時 所成神名 底津綿〈上〉津見神 次底筒之男命 於中滌時 所成神名 中津綿〈上〉津見神 次中筒之男命 於水上滌時 所成神名 上津綿〈上〉津見神〈訓上云宇閇〉次上筒之男命 此三柱綿津見神者 阿曇連等之祖神以伊都久神也 〈伊以下三字以音 下效此〉故阿曇連等者 其綿津見神之子 宇都志日金拆命之子孫也〈宇都志三字以音〉其底筒之男命中筒之男命上筒之男命三柱神者 墨江之三前大神也
  • 古事記 中つ巻「仲哀天皇」の段
    • ・・前略・・欲知其御名 即答詔 是天照大神之御心者 亦底筒男 中筒男 上筒男 三柱大神者也〈此時其三柱大神之御名者顯也〉・・後略・・・

墨江之三前大神の伝承

 伊邪那岐命が黄泉の国から戻ってきた時、穢れを祓うために行った「禊」によって化生された幾多の神々のうち、水の中で体を濯いだ時に化生した「底筒之男命」・「中筒之男命」・「上筒之男命」の三柱の神の総称になります。そして、仲哀天皇の段の中で新羅国征伐の話があり、神託に従わなかった仲哀天皇は神罰によって崩御してしまいますが、この時に神託は天照大御神の御心と底筒之男、中筒之男、上筒之男の三柱の神の御心であるとして登場しています。その後、神功皇后による新羅征伐に際して三柱の御魂を船の上で祀るよう教え守護し、新羅を服従させると、神功皇后は、杖を国王の門につき立てて、墨江大神の荒御魂を「国守神」として鎮座させています。

 当サイトでは、古事記の現代語訳を行うにあたって、「新潮日本古典集成 古事記 西宮一民校注」を非常に参考させて頂いています。原文は載っていないのですが、歴史的仮名遣いに翻訳されている訳文とさらに色々な注釈が載っていて、古事記を読み進めるにあたって非常に参考になる一冊だと思います。

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神々のデータ

神名底筒之男命
中筒之男命
上筒之男命
神祇天津神
別称底筒男
伊邪那岐
配偶
備考墨江之三前大神

墨江之三前大神を祀る神社

まとめ

 伊邪那岐の禊の中で墨江之三前大神と同時に生まれた神が綿津見三神になります。綿津見三神は、「阿曇連らが祖神として祭り仕える神で、阿曇連らは、この綿津見神の子、宇都志日金析命の子孫である。」と古事記の中でも説明がされています。阿曇連は全国の海人集団を取り仕切っていた氏族であると考えられているそうです。古事記、日本書紀の中でも両三神については海に纏わる伝承が記されている事から「海の神」として古くから信仰されている神々になります。

 日本書紀を読んでいくにあったって、原文は漢文で書かれているので非常に読み込むのが困難なので、現代語訳されている本が一冊あると助かるかと思います。当サイトでは、戦前から日本書記の翻訳本として有名な岩波文庫の日本書記を非常に参考にさせて頂いています。

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