大物主神とは?
登場文献
於是大國主神愁而。告吾獨何能得作此國。孰神與吾能相作此國耶。是時。有光海。依來之神。其神言。能治我前者。吾能共與相作成。若不然者。國難成。爾大國主神曰。然者治奉之状奈何。答言。吾者。伊都岐奉于倭之青垣東山上。此者坐御諸山上神也。
一書曰:大國主神。亦名大物主神。亦號國作大己貴命。亦曰葦原醜男。亦曰八千戈神。亦曰大國玉神。亦曰顯國玉神。其子凡有一百八十一神。夫大己貴命與少彥名命。戮力一心。經營天下。復爲顯見蒼生及畜產。則定其療病之方。又爲攘鳥獸昆虫之災異。則定其禁厭之法。是以百姓至今咸蒙恩頼。嘗大己貴命謂少彥名命曰。吾等所造之國。豈謂善成之乎。少彥名命對曰。或有所成。或有不成。是談也。蓋有幽深之致焉。其後少彥名命行至熊野之御碕。遂適於常世郷矣。亦曰。至淡嶋而緣粟莖者。則彈渡而至常世郷矣。自後國中所未成者。大己貴神獨能巡造。遂到出雲國。乃興言曰。夫葦原中國本自荒芒至及磐石草木咸能強暴。然吾已摧伏莫不和順。遂因言。今理此國唯吾一身而巳。其可與吾共理天下者盖有之乎。于時神光照海。忽然有浮來者曰。如吾不在者。汝何能平此國乎。由吾在故。汝得建其大造之績矣。是時大己貴神問曰。然則汝是誰耶。對曰。吾是汝之幸魂奇魂也。大己貴神曰。唯然。廼知汝是吾之幸魂奇魂。今欲何處住耶對曰。吾欲住於日本國之三諸山。故即營宮彼處使就而居。此大三輪之神也。此神之子。即甘茂君等。大三輪君等。又姬蹈鞴五十鈴姬命。
大物主神の伝承
国造りをはじめた大国主神は、海の向こうからやってきた「少彦名神」の助けを得て、まさに二人三脚で国造りを進めていったが、その後、少彦名神は常世国に渡ってしまいます。
一人となってしまった大国主神は、「私一人でどうして国造りができようか。次はどの神と共に国造りを進めていけばいいのだ。」と申すと、この時海を照らしながらやってくる神がいた。
その神は、「私の御魂を祭れば、私は協力してこの国造りを完成させよう。そうしなければ、この国造りは成功しないだろう。」と述べた。
これをきいた大国主神は、「それならば、祭祀の形はどうしたらよいでえしょうか。」と問うと、「私を倭国の青垣東山の上に身を清めて祀るがよい。」と答えた。
この神こそ御諸山の上に鎮座する神である。
古事記では、大物主神が大国主神の元に現れた時、その神名が記されておらず、「御諸山に鎮座する神」であると記されています。この御諸山は奈良県にある「三輪山」を指しています。この三輪山といえば、三輪山を御神体としている「大神神社」がその麓に鎮座しており、御祭神は「大物主命」であるとしています。
この事から、御諸山に鎮座する神とは大物主命であることが分かってきます。
これに対し、日本書紀では、大国主神の元に現れた神は「大国主神の幸魂奇魂である。」と記しています。幸魂奇魂とは一説には「和魂」であるとされています。
記紀などでは、神には和魂と荒魂の側面があるとされています。この和魂と荒魂はその名の通り和と求める魂と荒々しい魂であるとされています。この二つの魂はあまりにも個性が強すぎる事から、同一神として祀られてる事もあれば、時には別の神名を与えられて祀られていたりして、神道における神々への信仰の多様性を表していると思います。
また、古事記と日本書紀では大国主神に対する記述の違いが非常に大きいのも特徴で、古事記では大国主神についてかなりの文が記されているのに対し、日本書紀では神代上の第八弾(素戔嗚尊について記述)の一書曰のその6で登場するのみとなっています。
大物主神と大国主神は同一なのか?
古事記では、大物主神と大国主神は別神であるとしていますが、日本書紀では、大己貴神の別称が大物主神であるとしており、大神神社の御神体である三輪山に鎮座している大物主神は大己貴神の和魂であるとするなど、大己貴命と大物主神は同一神であると記しています。
皇室の正統性を証する為に記されたとする「古事記」と日本初の史書として記された「日本書紀」では編纂しているヤマト朝廷の立ち位置がそれそれの記紀に現れていると思われます。天皇家の正統性を高める為、ヤマト朝廷が征服していった場所で祀っていた神々をも吸収していった古事記に対し、ヤマト朝廷の歴史書として征服した先の歴史はあくまでも一書という形で軽く触れているだけの日本書記では、出雲国の大国主神の扱いがそれぞれ異なってるということなんでしょう。
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神々のデータ
神名 | 大物主神 |
神祇 | 国津神 |
別称 | 御諸山上坐神、美和之大物主神、倭大物主櫛甕魂命 |
親 | |
配偶 | 三穂津姫、活玉依比売、倭迹迹日百襲姫、勢夜陀多良比売 |
子 | |
大物主神を祀る神社
まとめ
大国主命と同一神とするのか、別神とするのかで当サイトのまとめ方も大きく変わってくる大物主神になります。当サイトでは基本的に古事記をベースに記事を書いてい事から、一応この神々の伝承では別神として紹介記事を起こしていこうかと思います。