日本書紀を読む

巻第六 垂仁天皇|神と兵器

日本書紀とは?

 養老四年(720年)に完成したとする日本最古の正史である「日本書紀」(やまとぶみ・にほんしょき)になります。ほぼ同時期に造られたという「古事記」と何かと対比されがちな傾向にあります。先にも述べましたが、「日本書紀」は正史として国内外に発信すべく造られた書であり、「古事記」は物語調でもあり国内に向けて天皇の正統性を発信する書であり、編纂目的は大きく異なっています。こうして異なった目的で編纂されたこともあり、古事記は物語調という事もあり非常に読みやすい書であるのに対し、日本書紀は年代を追って書く編年体を取っていて正直呼んでも面白くは・・・・。
 同時期に編纂されたこともあり、物語の冒頭から巻末までの範囲はほぼ同じなわけで、古事記と日本書紀を読み比べていくと飛鳥時代から奈良時代にかけての日本のあり様が見えてくるのではないでしょうか。

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神と兵器

本文

廿七年秋八月癸酉朔己卯 令祠官卜兵器爲神幣 吉之 故 弓矢及横刀納諸神之社 仍更定神地、神戸 以時祠之 蓋兵器祭神祇 始興於是時也 是歲 興屯倉于來目邑 屯倉 此云彌夜氣

  • 祠官:古代の官職名でもあり、祭祀を司る職をさす。

現代語訳

垂仁天皇二十七年秋八月七日

祠官に命じ、武具を神々に奉納する事の可否を占わせたところ、吉と出たので、弓矢と太刀を諸々の神々に奉納した。さらに、神地、神戸を定め祀った。武具をもって神祇を祀るのはこの時に始まったのである。
この年、屯倉が来目邑に造られた。

まとめ

 この時、神社に武具を奉納が始まり、神々と戦いが徐々に結びついていく切っ掛けとなった瞬間になります。それ以前からも戦勝祈願などで神々に供物をささげてきたと思いますが、より戦いに結び付く武具を奉納する事で、神々の名の下の戦いという新たな大義名分のもと、ヤマト朝廷の支配域が広がっていく事に繋がっていくのだろうと思います。

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 日本書紀を読んでいくにあったって、原文は漢文で書かれているので非常に読み込むのが困難なので、現代語訳されている本が一冊あると助かるかと思います。当サイトでは、戦前から日本書記の翻訳本として有名な岩波文庫の日本書記を非常に参考にさせて頂いています。

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