神々の伝承

樋速日神

2025年2月8日

樋速日神とは?

  • 古事記における表記
    • 樋速日神ひはやひのみこと
  • 日本書紀における表記
    • 熯速日神ひのはやひのかみ / 熯速日命ひのはやひのみこと

登場文献

  • 古事記「伊邪那岐・伊邪那美|火神を斬る」の段
    • 於是伊邪那岐命。拔所御佩之十拳劔斬其子迦具土神之頸・・・中略・・・次著御刀本血亦走就湯津石村 所成神名 甕速日神 次樋速日神 次建御雷之男神 亦名建布都神 亦名豐布都神
  • 日本書記 巻第二 神代下第九段
    • 高皇産靈尊 更會諸神 選當遣於葦原中国者 曰「磐裂根裂神之子磐筒男・磐筒女所生之子經津主神 是將佳也」時 有天石窟所住神稜威雄走神之子甕速日神 甕速日神之子熯速日神 熯速日神之子武甕槌神 ・・後略・・
  • 日本書記 巻第一 神代上第五段一書(六)
    • 復劒鐔垂血 激越爲神 號曰甕速日神 次熯速日神 其甕速日神 是武甕槌神之祖也 亦曰甕速日命 次熯速日命 次武甕槌神

樋速日神の伝承

 樋速日神は古事記・日本書記に共通しているのは、伊邪那美が火之加具土命を産んだ際に火傷を負って亡くなってしまいます。激怒した伊邪那岐は十拳剣で火之加具土命を斬り殺してしまいます。剣の鍔から滴り落ちた火之加具土命の血から一番先に「甕速日神」が、続いて「樋速日神」が、そして最後に「建御雷之男神」が産まれています。

 日本書紀では、神代下第九段(国譲り)においては、「天岩窟に住む「稜威雄走神」の子に「甕速日神」がおり、その甕速日神の子に「熯速日神」がおり、その熯速日神の子に「武甕槌神」がいる。」と書かれていて、三柱の神の間に系譜があると記されています。ただ、三柱の神に違いがない事から、それぞれの神に非常に強い結びつきがあるのは確かな様です。

 当サイトでは、古事記の現代語訳を行うにあたって、「新潮日本古典集成 古事記 西宮一民校注」を非常に参考させて頂いています。原文は載っていないのですが、歴史的仮名遣いに翻訳されている訳文とさらに色々な注釈が載っていて、古事記を読み進めるにあたって非常に参考になる一冊だと思います。

created by Rinker
¥3,080 (2025/03/15 22:19:16時点 楽天市場調べ-詳細)

神々のデータ

神名記:樋速日神(ひはやひのみこと)
紀:熯速日命(ひのはやひのみこと)
神祇天津神
別称
記:天之尾羽張(あめのおはばり)
紀:甕速日神(みかはやひのかみ)
配偶
紀:武甕槌神(たけみかずちのかみ)
備考河内国服連はとりのむらじの祖

樋速日神を祀る神社

まとめ

 「伊邪那岐が最愛の妻を殺された事で逆上し、我が子を殺してしまう。」というここまである意味淡々と物語が進んでいた「古事記・日本書記」においていきなり登場する壮絶な場面になります。親殺しであり報復として子殺しが行われている場面でも多くの神々が産まれていますが、火の神を斬り殺した返り血から生まれた甕速日神・樋速日神・建御雷之男神は雷が神格化されたとも言われています。落雷によって火災が起こった事の神格化か?

 日本書紀を読んでいくにあったって、原文は漢文で書かれているので非常に読み込むのが困難なので、現代語訳されている本が一冊あると助かるかと思います。当サイトでは、戦前から日本書記の翻訳本として有名な岩波文庫の日本書記を非常に参考にさせて頂いています。

created by Rinker
¥7,326 (2025/03/16 04:31:35時点 楽天市場調べ-詳細)

-神々の伝承
-