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蜂前神社(浜松市浜名区細江町)延喜式内社

2025年2月6日

神社情報

神社名蜂前神社
鎮座地静岡県浜松市浜名区細江町中川六九一五番地(GoogleMap
御祭神熯速日命
甕速日命
武甕槌命
創 建応神天皇十一年三月八日(280年)
社格等郷社
神名帳延喜式神名帳:遠江国引佐郡 蜂前神社
文化財井伊直虎関口氏経連署状
例大祭10月中旬の日曜日
境内社玉津嶋明神社
若宮社
仲宮姫命社
豊受姫命社
八田祖命神社
天王神社
乳於毛命神社
URLhttps://hachisakijinja.or.jp/
御朱印
参拝日:2021-12-4

御由緒

三代格式」の中で唯一完全な状態で現存している「延喜式」の巻九・巻十は全国に鎮座する当時繁栄していたとされる神社を記載したという「神名帳」になっています。通称「延喜式神名帳」に記載されている神社を「式内社」と呼ぶのですが、今回紹介する「蜂前神社」は延喜式内社の論社となっています。

延喜式内社とは?

平安時代中期頃まで日本は「律令制度」によって国家運営が行われていました。

そもそも、この律令制度とはなんぞや?

飛鳥時代から平安時代中期頃まで日本の統治体制になります。「律(現在の刑法)」と「令(現在の民法)」によって国家運営を行う制度なので「律令制度」と呼ぶわけです。こういった規則というのは時代によって変わっていくのが一般的ですが、どうやら「律」と「令」は頻繁に改正するものではないらしく、その辺から考えると現在でいう所の「日本国憲法」に相当するのかなと思います。このため、時代に即した統治をおこなう為に作らるのが、「(現在の法令)」「(施行規則)」によって構成された「格式」になる訳です。こちらは何度か改正されている様なので、現在の「法律」に相当する物だと思います。

天平宝字元年(757年)に施行された「養老律令」の改訂版施工規則として作られたのが康保四年(967年)に施行された「延喜式」になります。延喜式は全五十巻からなっていて、一巻~十巻が神祇官について、十一巻~四十巻が太政官八省関係、四十一巻~四十九巻が宮司関係、五十巻が雑則となっています。このうち、九巻と十巻が冒頭にも述べている全国の神社が記載されている「神名帳」になります。

この事から、式内社とは、「日本の政府に認められた神社」であるという事ができるかと思います。

ちなみに、太政官八省の記述よりも朝廷の祭式を司る神祇官についての記述が先に来ている所を見ると、神祇官は太政官より上位であったことが分かります。

社伝によると、創建は応神天皇十一年、脇宮の勧請は允恭天皇の御代であるという。蜂前という社号は元々「八ヶ前」に鎮座した事から「蜂ヶ前」と称したという事で、允恭天皇の御代以降は鳥飼神社又は羽島大明神と称し、延長五年(927年)に蜂前神社と改めたという。

 三代実録によると貞観八年(867年)十二月二十六日に「遠江国鳥飼神に従五位を授く」とある。また、応神天皇十一年三月八日に八田毛止恵なる者が勅命により遠江国に下向し、八田四十五丁、廣田七十町、岩瀬八町三反、合わせて百二十三町余りを開墾し、本社を八ヶ前に勧請し蜂前神社を創建し、子孫代々祝部として奉仕したと記されています。

  • 応神天皇十一年:八田毛止恵により創建
  • 貞観八年(867年):従五位を授かる
  • 明治四十一年一月十二日:神饌幣帛料供進指定社となる
  • 大正十二年二月十二日:郷社に列格する

引佐郡式内社について

 延喜式神名帳に記載されている「引佐郡」の神社は、渭伊神社、乎豆神社、三宅神社、蜂前神社、須倍神社、大セチ神社の六社になります。この六社に対し式内伝承社は、

  • 渭伊神社 浜松市浜名区引佐町井伊谷一一五〇番地
  • 乎豆神社 浜松市浜名区細江町中川四六四一番地一号
  • 二宮神社 浜松市浜名区引佐町井伊谷三〇六番地
  • 蜂前神社 浜松市浜名区細江町中川六九一五番地
  • 須倍神社 浜松市浜名区都田町六二八四番地
  • 三嶽神社 浜松市浜名区引佐町三嶽五九七番地
  • 細江神社 浜松市浜名区細江町気賀九九六番地
  • 四所神社 浜松市浜名区滝沢町一五八番地一号

の八社となっています。6番三嶽神社、7番細江神社、8番四所神社は大セチ神社の論社ですが、それ以外の式内社については論社がなく比定社が多い地域とも言えます。

御祭神

 公式HP、式内社調査報告書などでは蜂前神社の御祭神は「熯速日命を主祭神とし、甕速日命、武甕槌命を配祭す。」しています。静岡県神社志にはもう少し詳しく記載されており、主祭神は熯速日命、左脇宮には、甕速日命、天忍穂耳命・蛭児命・大己貴命・少彦名命・天穂日命を祀り、右脇宮には、武甕槌命、國狭槌命・石凝姥命・市杵島姫命・大山祇命祀るとしています。

  • 本殿(主祭神)
    • 熯速日命
  • 左脇宮
    • 甕速日命
    • 天忍穂耳命
    • 蛭児命
    • 大己貴命
    • 少彦名命
    • 天穂日命を
  • 右脇宮
    • 武甕槌命
    • 國狭槌命
    • 石凝姥命
    • 市杵島姫命
    • 大山祇命

左脇宮と右脇宮は、基本的に本殿の主祭神から見ての左右を指す事になるので、左脇宮は拝殿から見て向かって右側の脇宮、右脇宮は拝殿から見て向かって左側の脇宮の事になるはずです。

参拝記

 「須倍神社」を後にして国道362号線を西に車を走らせます。天竜浜名湖鉄道「金指駅」の東側にある国道257号線との交差点を左折して再度都田川を渡河した先に今回参拝する「蜂前神社」が鎮座しています。

境内入口

 自然石を加工した社号標が据えられている境内入口になります。その先に鳥居が見えています。

 扁額の無い明神鳥居が据えられています。鳥居の先にみえるのは社は境内社の「乳於毛命神社」になります。

社殿

入母屋造瓦葺平入の向拝が設けられた拝殿を有する社殿になります。屋根の反りがほぼ感じられない形状をしている為、この角度から拝殿を望むと、非常に小ぶりな屋根形状をしている様に感じてしまいますね。

 本殿は覆堂の中に鎮座していて、本殿の左右に脇宮も鎮座しているそうです。

境内社

境内社の天王社前からみた境内

 一段高い場所に鎮座している境内社の天王社の社前から蜂前神社の境内が一望できます。この角度からだと社殿の構造がよくわかりますね。

地図で鎮座地を確認

神社名蜂前神社
鎮座地静岡県浜松市浜名区細江町中川六九一五番地(GoogleMap
最寄駅鉄道:天竜浜名湖鉄道「金指駅」徒歩24分
バス:遠鉄バス「祝田バス停」徒歩4分

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